瀉血しゃけつ)” の例文
やがて医者が来て、瀉血しゃけつを五勺ほどし、尿をとり、血圧を低めるための注射をしました。そして小一時間の後かえったら、激しいケイレンと逆吐しゃっくりが起りました。
博士もバビンスキー反射を検べたが、睾丸の両側を擦る検査(提睾筋反射という由)はしなかった。瀉血しゃけつもあまりしない方がよいというのが、博士の意見らしかった。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
絶えず自分で血圧を計り、就寝前には必ず自分で瀉血しゃけつする習慣がついてゐた。
地獄 (新字旧仮名) / 神西清(著)
わたくしは心配性の逸作に向って、わたくしが父の死を見て心悸しんき亢進こうしんさせ、実家の跡取りの弟の医学士から瀉血しゃけつされたことも、それから通夜の三日間静臥せいがしていたことも、逸作には話さなかった。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
或る人は探偵小説を一つの精神的な瀉血しゃけつだと説明している。
探偵小説の正体 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
瀉血しゃけつをする、急いでくれ』
街の探偵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして医者の強制する瀉血しゃけつを厭がり、色んな口実を作つて逃げまはつてゐた。
母たち (新字旧仮名) / 神西清(著)