澹泊たんぱく)” の例文
卑しき色慾を知りて、高き愛情を解せざる男の心と、深けれども能く澹泊たんぱくに、大いなれども能く抑遜よくそんせる我心とは、日を同じくして語るべからず。さきの日の物語の憎かりしことよ。
ごく澹泊たんぱくな独身生活をしている主人は、下女の竹に饂飩うどんの玉を買って来させて、台所で煮させて、二人に酒を出した。この家では茶を煮るときは、名物のつるよりうまいというので、焼芋を買わせる。
独身 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
澹泊たんぱく何気なにげなく言ひ出したる処、かへつて冬至の趣ありて味ひあり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)