潰島田つぶし)” の例文
その時同じく潰島田つぶしった小づくりの年は二十二、三の芸者につづいて、ハイカラに結った身丈せいの高い十八、九の芸者が来て末座に坐る。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
油のにおいで結ったばかりと知られる大きな潰島田つぶしには長目に切った銀糸ぎんしをかけている。わたくしは今方通りがかりに硝子ガラス戸を明け放した女髪結かみゆいの店のあった事を思出した。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
今夜はいつもの潰島田つぶしではなく、銀杏いちょう返しに手柄をかけたような、牡丹ぼたんとかよぶまげに変っていたので、わたくしは此方こなたから眺めて顔ちがいのしたのを怪しみながら歩み寄ると
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)