漏刻ろうこく)” の例文
それがこの寂寞の境の単調な時間の推移を示す天然の漏刻ろうこくかとあやまたれる。とこにはひどい凸凹とつあふがある。己は闇の中を辿つて行くうちに足を挫きさうになつた。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
その背景の前に時たま現れる鳥影か何ぞのように、琴や琵琶びわの絃音が投げ込まれる。そして花片の散り落ちるように、また漏刻ろうこくの時を刻むように羯鼓かっこの音が点々を打って行くのである。
雑記(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その次に時間割を等分するために、これも手製の一つの漏刻ろうこくを備えました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わが脈の漏刻ろうこくくだちゆくなり。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
漏刻ろうこくが来て、のんでゆく。