“滾転(こんてん)” の例文
風に揺ぐ玉樹の翠(みどり)や、野に拡がる琪草(きそう)の香や、姿を見ぬ仙禽(せんきん)の声や、然様いう種々のものの中を、吾が身が経巡り、吾が魂が滾転(こんてん)し行いて
穂高岳 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
といった時には、その赭い頬に涙の玉が稲葉(いなば)をすべる露のようにポロリと滾転(こんてん)し下(くだ)っていた。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
諸老臣の深根固蔕(こたい)の議をウフンと笑ったところは政宗も実に好い器量だ、立派な火の玉だましいだ。ところが此の火の玉より今少しく大きい火の玉が西の方より滾転(こんてん)殺到して来た。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
前者は出づることを得ず、後者は急に出でんとす。営中紛擾(ふんじょう)し、人馬滾転(こんてん)す。燕兵急に之を撃って、遂に営を破り、衝撃と包囲と共に敏捷(びんしょう)を極む。南軍こゝに至って大敗収む可(べ)からず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)