渡船場わたしば)” の例文
現に久慈川くじがわのとある渡船場わたしば付近では、見上ぐる前方の絶壁の上から、巨巌大石きょがんだいせきおびただしく河岸に墜落しているのを見る。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
水が枯れて河原の広広ひろびろとした大きな河が来た。勘作はこの河ではないかと思って、渡船場わたしばにおりようとする河土手になった林の中を注意して歩いていた。
ある神主の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
が、やがて気がつくと、舟はへさきをケリケリと当てながら、対岸の渡船場わたしばに着いたのであった。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
十日ばかりの月が向こう岸の森の上に出て、渡船場わたしば船縁ふなべりにキラキラと美しくくだけていた。はだに冷やかな風がおりおり吹いて通って、やわらかなの音がギーギー聞こえる。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「では、渡船場わたしばまで」と話しつつ、歩いてゆく。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここではかみさんがわざわざ通りに出て渡船場わたしばに行く路を教えてくれた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)