渡瀬わたらせ)” の例文
若し夫れ足尾の峯を攀ぢ渡瀬わたらせの流を下るの後は髣髴として「足尾鑛毒問題」なる一個の面影を描くに庶幾ちかからんか、(二月十五日夜佐野町にて木下生)
佐野だより (旧字旧仮名) / 木下尚江(著)
十六夜いざよい日記残月抄』に、間々はままにて、土が心の儘に崩るる所をいう。上野の大真間などもその意なりとあり。げにも渡瀬わたらせ川の高崖にて、躍滝というあたりなどはさる所なり。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
渡瀬わたらせ沿岸なる早川田さかはたの雲龍寺に撞き鳴らす警鐘を合圖に簔笠、糧を包みて集會せるもの二百、三百忽にして五百
佐野だより (旧字旧仮名) / 木下尚江(著)
渡瀬わたらせの板橋を越へ、左手ゆんでなる田中の一林中に彼の雲龍寺の堂棟を眺め、仰で遙かに足尾の高根を望み、湧き出づる萬感の間に一道の理會を試みつゝ急ぎぬ
佐野だより (旧字旧仮名) / 木下尚江(著)