浮彫レリーフ)” の例文
池を取り巻く四方の壁は羅馬時代の壁画や浮彫レリーフで一面に装飾され、楕円形を成した汀の床のところ/″\には、又しても例のケンタウルが一間置きぐらいに並んで居るのです。
金色の死 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
うずたかかったものであろうが、血餅ちのりが分解して土間に吸い込まれるし、盛上った灰が又、湿気のためにピシャンコになっているので、その下に在った塵屑ごみくずの形を、浮彫レリーフみたいに浮き出させている。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
樫の幹や叢は、幾度も絵具を塗り返されて、浮彫レリーフの下彫のように浮出していたが、作意は少しも現われていなかった。枯死そのものを表現すべき色彩の下から、一種の明るい気分が浮き上っていた。
二つの途 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)