洗場あらいば)” の例文
定巡じょうまわりの旦那衆がお出でになりまして、そのほうどもでは時節ちがいの走物はしりものを料理に使ってはいないかと仰有おっしゃりまして、洗場あらいばから帳場の隅々までお改めになってお帰りになるかと思えば
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
洗場あらいばながしは乾く間のない水のために青苔あおごけが生えて、触ったらぬらぬらしそうにひかっている。そして其処には使捨てた草楊枝くさようじの折れたのに、青いのや鼠色の啖唾たんつばが流れきらずに引掛っている。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)