油幕ゆまく)” の例文
「あなたを招いて、油幕ゆまくに火を放ち、焼き殺す計であると——或る者からちらと聞きました。お出向き遊ばすなら、充分兵備をしておいでなさい」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夕星ゆうずつの光が白く空にけむる。いつか夜は更けかけていた。孔明はひとたび壇を降りて、油幕ゆまくのうちに休息し、そのあいだに、祭官、護衛の士卒などにも
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
では、時刻を待つとて、油幕ゆまくを張り、枯柴を隠し、宴席の準備をした。そして韓遂を中心に、まず前祝いに一こん酌み交わして、手筈をささやいていると、そこへ突然
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先頭に立てて来た一団の爆火船隊——煙硝えんしょう、油、柴などの危険物を腹いっぱい積んで油幕ゆまくをもっておおい隠してきた快速艇や兵船は——いちどに巨大な火焔を盛って、どっと
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)