沈着ちんちゃく)” の例文
本当に沈着ちんちゃくな花です。思い切って、一度にぱっと開くことの出来ない花です。梅の花の妙味みょうみはそこにあるのだと思います。
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
そしてすこし下っては、左右上下の天井を懐中電灯で照らし注意深い観察をしては、またすこし身体を後退させていった。彼は次第次第に沈着ちんちゃくさを取返してくるのを自覚した。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もし、忠盛が、臆病者おくびょうものであったら、かならず過って、罪もない坊主を斬り殺していたにちがいない。剛胆ごうたん沈着ちんちゃく、武者たる者は、よろしくかれの如きであれ——と、いうのである。
沈着ちんちゃくなる宿直員の観察かんさつ
香水紳士 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
真面目で沈着ちんちゃくの人物と見られていた小山田庄左衛門が、年った父の一かんを見舞いにゆくと云って出た途中で、何う気持が変ったのか、片岡源五右衛門の家へ入って、源五の留守のまに
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)