水気みづけ)” の例文
旧字:水氣
婆さんに聞いて見ると、頗る水気みづけの多い、旨ひ蜜柑ださうだ。今にうれたら、たんと召し上がれと云つたから、毎日少し宛食つてやらう。もう三週間もしたら、充分食へるだらう。
坊っちやん (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
塩引鮭の肉汁スウプといふのは、名前通りに塩鮭の切身をとろ火で煮出した汁である。手つ取り早く言ふと安官吏の油汁あぶらじるのやうに脂つ気の薄い、しよつぱい水気みづけ沢山たくさんなものだが、訥子は
指触れば水気みづけふくみゐて光る
忘春詩集:02 忘春詩集 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
水気みづけのない
南洋館 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
だが、さる物識ものしりの説によると、基督が言つたやうに人は麺麭パンのみで生きるものでないと同じく、鼠も米のみで生きる事は出来ない。人間に宗教が要るやうに、鼠には水気みづけのある菜つ葉が必要だ。