氣勢けはい)” の例文
新字:気勢
と言つてる所へ、入口に人の訪るゝ氣勢けはい。智惠子は屹と口を結んだ。俄かに動悸が強く打つ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
直ぐにその塲からでも何方いづれかゞこの家を離れゆくと云ふ氣勢けはいをはつきりと見せ得る男であつた。そこには男が特にみのる一人に對して考へてゐる樣な愛なぞは微塵も挾まれなかつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
と、渠は、前夜同じ蚊帳に寢た女の寢息や寢返りの氣勢けはいひどく弱い頭を惱まされて、夜更まで寢附かれなかつた事も忘れて、慌てゝ枕の下の財布を取出して見た。變りが無い。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)