残渣ざんさ)” の例文
かくて地上生活の残渣ざんさはきれいに洗い浄められ、魂は絶対無限の至高境に向って、ただ上へ上へと進んで行くのである。
ところが、牛乳を鑵からあけてしまうと、彼女は、ふと鑵の底に、緑色をした残渣ざんさのあるに気附いた。
誤った鑑定 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
明るさが次第に、野に丘に海に加わって行く。何か起るに違いない。生活の残渣ざんさ夾雑物きょうざつぶつを掃出して呉れる何かが起るに違いないというよろこばしい予感に、私の心は膨れていた。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
われ等は心からそれ等の人達を使って、通信を送りたいのであるが、われ等はその前に、彼等の向上前進を不可能ならしむる、盲信と独断の残渣ざんさを一掃し去らねばならぬ。