歸準備かへりじたく)” の例文
新字:帰準備
手ランプを消して、一時間許りつと、丑之助がもう歸準備かへりじたくをするので、これも今夜きりだと思ふとお定は急に愛惜の情が喉に塞つて來て、熱い涙が瀧の如く溢れた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
此時は流石に私も肩の荷を下した樣で、ホッと息をして莨に火を移すが、輕い空腹と何と云ふ事の無い不滿足の情が起つて來るので大抵一本の莨を吸ひきらぬ中に歸準備かへりじたくをする。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)