此彼しひ)” の例文
ひろく万国の歴史を読み、治乱興廃の事跡を明らかにし、此彼しひ相比較せざれば、一方に偏するの弊を生じ、事にあたりて所置をあやまること多し。
此彼しひ遠く離れて精神を局外に置き遠方より視察するに非ざれば、他の真情を判断して交際を保つこと能わざるべし。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そもそも文学と政治と、その世に功徳くどくをなすの大小いかんを論ずるときは、此彼しひごうも軽重の別なし。
しからばすなわち我が輩の所業、その形は世情と相反するに似たりといえども、その実はともに天道の法則にしたがいて天賦の才力を用ゆるの外ならざれば、此彼しひかんごう相戻あいもとることなし。
中元祝酒の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)