「邪師にまどはされ」ているもののために「仏家の正法を知らしめん」として、彼は『正法眼蔵しょうぼうげんぞう』を書き始めた。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
道元禅師はその『正法眼蔵しょうぼうげんぞう』に強くこういった。「道心ありて名利をなげすてん人いるべし」と。つまり名利に仕える如き人間は山内さんないには入れぬというのである。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
正法眼蔵しょうぼうげんぞう』に「梅花の巻」といわれているものがある。かれはそうと気がついて、急に見たくなって、そば書架しょかがあれば、手を出してその本を探したいような心持がした。
これを最上乗さいじょうじょうと名づく、また第一義と名づく、また般若はんにゃ実相と名づく、また一真法界いっしんほっかいと名づく、また無上菩提ぼだいと名づく、また楞厳りょうごん三昧ざんまいと名づく、また正法眼蔵しょうぼうげんぞうと名づく、また涅槃妙心ねはんみょうしんと名づく
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
彼の主著『正法眼蔵しょうぼうげんぞう』の第一章は、この廃院において、右のごとき社会的環境の下に、書かれたのであった。彼は序していう、——自分は宋より帰って真理をひろ衆生しゅじょうを救うのを念とした。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)