歓心かんしん)” の例文
けれど、表面はあくまでも、互いに、相手の歓心かんしんを求め、どちらも謙譲けんじょうの礼を取って、敢えて、驕傲きょごうに出るふうなどは毛頭もない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勝平は、先刻さっきから全力を尽くして、瑠璃子の歓心かんしんを買おうとしていた。彼は、急に思い出したように
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
喜んでくれないまでもふくれつらをすることだけはなかった。で、私はそれから一、二ヵ月はこの手段で祖母の歓心かんしんを買っていた。だが、無論内心ではすこぶる不安であった。
が、その日、会見の第一印象に、秀吉がいかに信雄の歓心かんしんをつなぐのに、甘いことばをもってしたかは、想像に余りがある。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われから初花の茶入れなどを贈って、その歓心かんしんを試みているなども、この人、ひと筋縄や二筋縄で測られる“下腹ぶくれ”でないことがわかる。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)