機關からくり)” の例文
新字:機関
而して同時にこの生理的誇張が聽衆の特殊の興味アンテレエを惹起すると云ふ事を知ると世の中の機關からくりに對して頗る樂天的な觀相を抱かしめられるのである。
京阪聞見録 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
陰に廻りて機關からくりの糸を引しは藤本の仕業に極まりぬ、よし級は上にせよ、ものは出來るにせよ、龍華寺さまの若旦那にせよ、大黒屋の美登利紙一枚のお世話にも預からぬ物を
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
眺め紀州へりて高野山へのぼり和歌の浦にて一首詠み熊野本宮の湯にりてもとの小栗と本復しと拍子にかゝれば機關からくり云立いひたてめけど少しは古物類ものぞく爲に奈良へ𢌞りて古寺古社にまう名張越なばりごえ
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
なんか人生といふものの機關からくり、その歸趨、その因果が明かに久遠の相下に見えるやうな氣がして妙な心地になつた。
海郷風物記 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)