橋梁はしげた)” の例文
のみならず工事中の鉄橋さへ泥濁りに濁つた大川の上へ長々と橋梁はしげたを横たへてゐた。僕はこの橋の名前は勿論、この橋の出来る話も聞いたことはなかつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
仕掛けて、間違つて自分が飮んだのだ。天罰てんばつだよ、——善公にも勘太にも罪はない。のみでやられたと思つた死骸の肩の傷は、兩國の橋梁はしげたの釘かなんかでやられたんだらう
橋梁はしげたに虫の這うのも読める真昼、所は江戸の日本橋、数百人の好奇の眼の前に、かつて人目に触れたことの無い、神秘そのもののような、世にも美しい処女おとめの玉の肌が、真珠に刻んだ塑像のように
礫心中 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)