梅鉢草うめばちそう)” の例文
黒檜山は梅鉢草うめばちそう虫取菫むしとりすみれ雪割草ゆきわりそうの産地で、中にも梅鉢草の咲き盛りには頂上の東の斜面は実に美しい。
望岳都東京 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
日光の射さない、湿っぽい木蔭に、霧にぬれている姿は、道ばたの石の間から、伸び出て咲いている雪のような梅鉢草うめばちそうの花と共に、何となく深山の情趣を漂わせます。
果物の幻想 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは白馬ヶ岳の雪に磨かれた深山薄雪みやまうすゆきや、梅鉢草うめばちそうとは違います、ここのは、眼のあおい、ひげの赤い異国の人が持って来て、人の生血いきちを飲みながら植えて行った薬草なんですもの
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こちらをごらんなさい、花も、葉も、枝も、すっかり白天鵞絨しろびろうどではございませんか。これはまあ、真黄色まっきいろ! こんな大きな梅鉢草うめばちそう! これは石楠花しゃくなげ躑躅つつじの精かも知れません。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)