梅酢うめず)” の例文
……それからすでに生水をお飲みになった方は、急いで医師の診察をうけられるか、それともすぐ梅酢うめずをちょこに二、三杯ずつ飲んで下さい……
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)
からすの群れは、急に厚顔あつかましく地上へ降りて来て、死骸へたかり、梅酢うめずを浴びたようになって、驚喜の翼をっている。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
梅酢うめず唐辛子とうがらしとを入れて漬ける四斗樽しとだるもそこへ持ち運ばれた。色もあかく新鮮な芋殻を樽のなかに並べて塩を振る手つきなぞは、お民も慣れたものだ。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「迷子札などは何時でも拵へられるよ。眞鍮しんちゆう梅酢うめずに漬けて置けば、青錆も出るよ。あの錆具合が少し念入り過ぎるのを、俺が氣が付かずに居ると思ふか」
梅酢うめずの樽へでも手を突っこんだように、柄手つかでから肩半分まで、あけになると、城太郎の頭には、もう何もない。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)