桔梗ききゃう)” の例文
あたらしく眼をひらいては前の青ぞらに桔梗ききゃういろや黄金きんやたくさんの太陽のかげぼふしがくらくらとゆれてかゝってゐます。
ひかりの素足 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
たゞその澄み切った桔梗ききゃういろの空にさっきの黄金きんいろの二十六夜のお月さまが、しづかにかかってゐるばかりでした。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
お月さまは今はすうっと桔梗ききゃういろの空におのぼりになりました。それは不思議な黄金きんの船のやうに見えました。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
けれども東の空はもう優しい桔梗ききゃうの花びらのやうにあやしい底光りをはじめました。
いてふの実 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
夜があけかゝり、その桔梗ききゃう色の薄明の中で、黄色なダァリヤは、赤い花を一寸ちょっと見ましたが、急に何かこはさうに顔を見合せてしまって、一ことも物を云ひませんでした。赤いダァリヤが叫びました。
まなづるとダァリヤ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
深い鋼青から柔らかな桔梗ききゃう、それからうるはしい天の瑠璃るり、それからけむりに目をつぶるとな、やはりはがねの空がの前一面にこめてその中にるりいろのくの字が沢山沢山光ってうごいてゐるよ。
柳沢 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
あとでカンがへるは腕を組んで考へました。桔梗ききゃう色の夕暗ゆふやみの中です。
蛙のゴム靴 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
空の桔梗ききゃうのうすあかりには
楢ノ木大学士の野宿 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)