桑門さうもん)” の例文
長順 思へば女一人のために、身を殺さむは、さすが世間の手前、人の思はくも恥かしく、此世ながらの梵涅槃ぼんねはん桑門さうもんの道に入りもしたれ、そなたと分れて四年よとせの間……
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
猶其上に道理無き呵責かしやくを受くる憫然あはれさを君は何とか見そなはす、棄恩きおん入無為にふむゐを唱へて親無し子無しの桑門さうもんに入りたる上は是非無けれども、知つては魂魄たましひを煎らるゝ思ひに夜毎の夢も安からず
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)