本石町ほんこくちょう)” の例文
この治郎公の息子か何かが、この間まで本石町ほんこくちょうの人形屋光月の傍に鮨屋を出していましたっけ。市区改正後はどうなりましたか。
江戸か東京か (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
そのうちに本石町ほんこくちょうの九つ(午後十二時)の鐘の音が沈んできこえた。五位鷺がまた鳴いて通った。
真鬼偽鬼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いくばくもなくして節を折って書を読み、精力しゅうえ、識見ひとを驚かした。分家したはじめ本石町ほんこくちょうに住していたが、後に矢の倉に移った。侍医に任じ、法眼に叙せられ、次で法印に進んだ。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
本石町ほんこくちょうの土佐屋で鰹節かつおぶしの切手を買い、それからこの本郷真砂町までやって来た。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ぶら/\遊んで居るから本石町ほんこくちょう四丁目の松田と云う貸本屋へ奉公にりましたが、松田が微禄いたして、伯父の処へ帰って遊んでいるから、少し烟草を売るがいゝと云うので、つかみ煙草を風呂敷に包み
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)