木片こつぱ)” の例文
農家の建築は一般に木片こつぱで葺いた屋根の上へまるで沢庵の重石おもしのやうに人頭大の石を並べたものであるが、これは恐らく風雪の被害を避ける最も安直な手段なのだらう。
木片こつぱに火を移す工合迄、これも教はつた通り一定してゐるので、決して出來不出來はなかつた。
カアネエギイは木片こつぱのやうな事務員でも、大抵は自分がぢかに会つた上で撰好えりこのみをする。
私や金と同じことに今では如何か一人立ち、然も憚りながら青涕あをつぱな垂らして弁当箱の持運び、木片こつぱを担いでひよろ/\帰る餓鬼の頃から親方の手について居た私や仙とは違つて奴は渡り者
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
がらんとした家に待つのは智恵子、粘土、及び木片こつぱ
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
はつよきの音、板削る鉋の音、孔をるやら釘打つやら丁〻かち/\響忙しく、木片こつぱは飛んで疾風に木の葉の飜へるが如く、鋸屑おがくづ舞つて晴天に雪の降る感応寺境内普請場の景況ありさま賑やかに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
檜の木片こつぱは私の眷族けんぞく
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)