月夜烏つきよがらす)” の例文
八重はあしたの晩、哥沢節うたざわぶしのさらいに、二上にあがりの『月夜烏つきよがらす』でもうたおうかという時、植込の方で烏らしい鳥の声がしたので、二人は思わず顔を見合せて笑った。
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
奥歯で噛んで畳の上敷きへほうりつけさては村様か目が足りなんだとそのあくる日の髪結いにまで当り散らしだまされて月夜烏つきよがらすまよわぬことと触れ廻りしより村様の村はむら気のむら
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
きやきやと月夜烏つきよがらすの齒が痛む、よさけた醒めごころ
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
ほとゝぎす月夜烏つきよがらすの跡や先 里東
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)