書記かきやく)” の例文
小万こまんは涙ながら写真と遺書かきおきとを持つたまゝ、同じ二階の吉里よしざとへやへ走ツて行ツて見ると、素より吉里のらう筈がなく、お熊を始め書記かきやくの男とほかに二人ばかり騒いでゐた。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
仏法僧のなく覚束おぼつかなし、誰に助けらるるともなく、生命いのち生きて、浮世のうらを、古河銅山の書記かきやくになって、二年ばかり、子まで出来たが、気の毒にも、山小屋、飯場のパパは、煩ってなくなった。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小万こまんは涙ながら写真と遺書かきおきとを持ったまま、同じ二階の吉里よしざとへやへ走ッて行ッて見ると、もとより吉里のおろうはずがなく、おくまを始め書記かきやくの男とほかに二人ばかり騒いでいた。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)