暁天あかつき)” の例文
旧字:曉天
お浪暁天あかつきの鐘に眼覚めて猪之と一所に寐たる床よりそつと出るも、朝風の寒いに火の無い中から起すまじ、も少しさせて置かうとのやさしき親の心なるに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
からす等は、もう暁天あかつきになったと告げるけれども、あのように岡の森は未だ静かなのですから、も少しゆっくりしておいでなさい、という女言葉のようにも取れるし
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
いたちも、暁天あかつきも、小猿も、持って生れたコソ泥根性は抜けず、打つ、買う、飲む、の貪欲にこき使われて、最後の日まで、世間泣かせの小稼ぎをやっていたというではないか。
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
暖か味のない夢に物寂ものさびた夜を明かしけるが、お浪暁天あかつきの鐘に眼覚めて猪之と一所に寝たる床よりそっと出づるも、朝風の寒いに火のないうちから起すまじ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
暁天あかつき星五郎——(羅宇屋煙管五郎八)
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今宵は夜すがら此御堂の片隅になり趺坐ふざなして、暁天あかつきがたに猶一度誦経しまゐらせて、扨其後香華をも浄水をも供じて罷らめと、西行やがて三拝して御仏の御前を少し退すさ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)