景山かげやま)” の例文
しかるにその年の九月初旬しょうが一室を借り受けたる家の主人は、朝未明あさまだきに二階下より妾を呼びて、景山かげやまさん景山さんといとあわただし。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
腹立たしきよりは先ずあきれられて、更に何故なにゆえともきかねたる折から、の看守来りて妾に向かい、「景山かげやまさん今夜からさぞさびしかろう」と冷笑あざわらう。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
景山かげやまは今何処いずくにいるぞ、一時を驚動せし彼女の所在こそ聞かまほしけれなど、新聞紙上にさえうたわるるに至りぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
言ひすべのなからんやと、事に托して叔母なる人の上京を乞ひ、事情を打明うちあけて一身いつしんの始末を托し、只管ひたすら胎児の健全を祈り、みづから堅く外出をいましめし程に、景山かげやまは今何処いづくに居るぞ
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)