映出うつしだ)” の例文
それが、その貝の口を細く開いた奥に、白銀しろがねの朧なる、たとえば真珠の光があって、その影が、かすか暗夜やみよに、ものの形を映出うつしだす。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夜目には縁も欄干らんかん物色うかがわれず、ただその映出うつしだした処だけは、たとえば行燈の枠のげたのが、朱塗しゅぬりであろう……と思われるほど定かに分る。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)