早川はやかわ)” の例文
「下男の早川はやかわでございます。あれは、白鮫号しらさめごうを見つけますと、すぐに泳いで、連れて来てくれました。でも先生、なぜでございます」
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
塔の沢へ行って見る山のすその雪、青木やすげ足立あだちなどとかつて遊んだことのある若かった日までも想い起させるような早川はやかわの音
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「そうでございます」松蔵はそこで気がいて、「それでは、早う往け、安吾やすごさんは役所へ寄って、早川はやかわさんから名刺なふだをもろうて往くがええ」
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
早川はやかわさんが、早く往ってうで来いと云うたよ、早川さん、歯の脱けた口をばくばくやって、周章あわてちょる」
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
私が自分のそばにいる兄妹きょうだい三人の子供の性質をしみじみ考えるようになったのも、早川はやかわけんというような思いがけない人の名を三郎の口から聞きつけるようになったのも、そのころからだ。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)