日雇取ひようとり)” の例文
「隣町の日雇取ひようとりの娘ですよ。あまり釣り合はなさ過ぎるので、若旦那が何んとお願ひしても、親旦那は一緒にさしてくれません」
小「わたくしは商いを仕様とも、日雇取ひようとりをいたしましても、あなた御一人おひとりだけはお過し申します」
「どうも姉様ねえさん難有ありがとう。」車夫は輪軸を検せんとて梶棒を下すを暗号あいずに、おでん燗酒かんざけ茄小豆ゆであずき、大福餅の屋台みせに、先刻さきより埋伏まいふくして待懸けたる、車夫、日雇取ひようとり、立ン坊、七八人
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
日雇取ひようとりの與八は、急に立止つて、ヒヨイとお辭儀をしました。喜三郎に聲を掛けられなかつたらそのまゝ知らん顏して行く心算つもりだつたでせう。
「白痴の猪之助は、日雇取ひようとりに出るのも忘れて、夜が明けてから日が暮れるまで、裏の物干臺に立つて、板塀越しに、お隣の三七郎の家を眺めて居ますよ」
日雇取ひようとりの子で金を目當てにさらはれる筈もなく、お新の母親のお豊は武家ぶけの後家で、少しはたくはへもあるやうですが、長い間賃仕事をして、これも細々とした暮しです。
金五郎は死骸を置いて表戸を開けると、其處には、岩吉の隣りに住んでゐる日雇取ひようとりの與八と女房のお石が、叱られた駄々ツ兒のやうな、おびえきつた顏を並べて立つて居るのでした。
可哀想に、伜の彌三郎は、自分の家ながら、大びらにも入れず、さうかと言つて、まさか日雇取ひようとりになつて呑み食ひも出來ず、人垣の影になつて、身を狹めてのぞいたり、合圖をしたり