文化文政ぶんかぶんせい)” の例文
三馬さんばの作に「浮世風呂」の名があっても、それは書物の題号であるからで、それを口にする場合には銭湯せんとうとか湯屋ゆうやとかいうのが普通で、元禄げんろくのむかしは知らず、文化文政ぶんかぶんせいから明治に至るまで
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
また、文化文政ぶんかぶんせいの美人の典型も元禄げんろく美人に対して特にこの点を主張した。『浮世風呂』に「細くて、お綺麗きれいで、意気で」という形容詞の一聯がある。「いき」の形相因は非現実的理想性である。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
『昔々物語』によれば、昔は普通の女が縫箔ぬいはく小袖こそでを着るに対して、遊女が縞物を着たという。天明てんめいに至って武家ぶけに縞物着用が公許されている。そうして、文化文政ぶんかぶんせいの遊士通客は縞縮緬しまちりめんを最も好んだ。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)