数珠形じゅずなり)” の例文
さりとて不問にも帰し難ければ、「ともかくも戸外おもてへ出ろ。」と数珠形じゅずなりに引立てて戸外へ出ずれば、今まで荒れに荒れた屠犬児、神妙にかしこまりて、「へいへいわたくしも御一所に。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……顔を倒にして、じ向いてのぞいたが、ト真赤なかにが、ざわざわと動いたばかり。やどかりはうようよ数珠形じゅずなりに、其処そこら暗いところうごめいたが、声のありそうなものは形もなかった。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)