放縦ほしいまま)” の例文
旧字:放縱
こうお種は言って、土地の風俗を蔑視さげすむような眼付をした。楽しそうな御輿の響は大切な若い子息むすこ放縦ほしいままな世界の方へと誘うように聞える……お種は正太のことを思ってみた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
つかれた、それでも放縦ほしいまま
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その諏訪藩として浪士らをそう放縦ほしいままにさせて置けないと言うものがあり、大げさの風評が当てになるものでもないと言うものがあって、軽々しい行動は慎もうという説が出た。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
うたいもうたい、歌の話もするが、なにしろ尾州藩の宮谷家から先代菖助の後妻に来た鼻のたかい人で、その厳格さがかえって旦那を放縦ほしいままな世界へと追いやったかとおもって見ることもある。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)