さら)” の例文
天狗てんぐにでもさらわれるように思い、その壻殿が自分の内へ這入り込んで来るのを、この上もなく窮屈に思って、平生心安くする誰彼たれかれに相談したが
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
忽ち球は我色に背きて、監者は冷かに我銀の山をさらひ取りぬ。われは夢の醒めたる如くなりき。我がまことに失ひしは柱文銀一つのみと、獨り自ら慰めて次の室に入りぬ。
それをすばしこくさらって行きやがったな。
そしておっこって、廊下をがさがさ這い廻るのを、男達がさらって、手桶ておけの底に水を入れたのを持って来て、その中へ叩き込んで運んできますの
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
もっと極端に云えばの札の札というようなものを二三枚ずついて置いて、と読んだ時、蒔いてあるの札を残らずさらってしまえば好いわけになる。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)