「おれとしたことが、摂津守村重せっつのかみむらしげに計りおとされるとは。……さてさて世道人心は複雑になって来たな。どうも、常道ではいけないようだ」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荒木摂津守村重せっつのかみむらしげ謀叛むほんという報が入って、安土の内外をおどろかせたときの——彼の愕きから来た一瞬の感情ではそう否定した。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さとくも、時代の方向を、見さだめたつもりで、中国経略の途中から、突如とつじょ、主将の秀吉を裏切り、また盟主信長に反抗を宣言して、伊丹いたみの城にたてこもった荒木摂津守村重せっつのかみむらしげの孤立化こそ
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
官兵衛孝高よしたか事、旧主小寺政職おでらまさもとを説破。ただちにまた伊丹へも入城。摂津守村重せっつのかみむらしげと対面の上、御意ぎょいの儀、きっと談じ遂げ申すべく、決死おもむきおり候えば、紛事ふんじ一決期して御待ち被遊あそばさるべく。——云々。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)