掛花活かけはないけ)” の例文
友染のたすきがけで艶雑巾つやぶきんをかけていたお米という小間使が、ふっと掛花活かけはないけの下で手を留めて、活けてありました秋草をじっと見ながら、顔をべにのようにしたということですよ。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三尺の床に袋戸棚が隣ってそこから座蒲団ざぶとんが引出され、掛花活かけはないけあざみは大方萎れて、無頓着が売物の小座敷だ、婢は云う御酒は、小歌は云うあがらないの、だけれども印しにと貞之進に向い
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
その内に、床の間へ目が着きますとね、掛地かけじがない。掛地なしで、柱の掛花活かけはないけに、燈火あかりには黒く見えた、鬼薊おにあざみが投込んである。しからん好みでしょう、……がそれはまだい。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……ちょっとその小さな掛花活かけはないけを取って頂戴。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)