掛幅くわいふく)” の例文
いとけない時から白川楽翁侯に近侍してゐた人である。南天荘主は頃日このごろ田内の裏書のある楽翁侯の歌の掛幅くわいふくを獲たさうである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
わたくしは良子刀自所蔵の掛幅くわいふくに於てこれを読むことを得た。「笑迎四十六年春。椒酒三杯気愈伸。弟有悌兮児有孝。奉斯懶病不材人。己酉元日口占。源信厚。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
宸翰は大字の掛幅くわいふくと色紙とであつた。是は素榛軒の祖父信階のぶしなの師武田長春院の家に伝へてゐた物であつたが、武田氏は家道漸く衰へて、これを商賈の手に委ねむとした。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)