たず)” の例文
旧字:
V停車場で見たのは、私のたずねている女に相違なかったですよ。昨晩H通りで出会った自動車にも、確かにグヰンが乗っていたのです。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
「誰かいないかな?」目でたずねたけれど、自分を措いて誰も見えないので、浩はいつもの癖通り左の耳に受話機を取りあげた。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
他には竹橋御門なおその影を止め、爾余のは馬場先門にしろ、日比谷見附にしろ、今はその趾さえたずぬるに困難である。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
わたくしはよく椿の実を枝にたづねたものであるが、茶の花は根元の土の上をたずねる方が、早く種が見つかりさうである。全く茶の実は枝にはなく土の上にこぼれてゐるからである。
冬の庭 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)