拙斎せっさい)” の例文
その時、お民は思いついたように、下座敷の小襖こぶすまから薬箱を取り出して来た。その中には医師の小島拙斎せっさいが調合して置いて行ってくれた薬がある。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
勇武の士だが、すぐれた歌人でもある拙斎せっさいは、つるりと禿げあがった法師頭をでながら
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
旧本陣の母屋もや、土蔵を添えて、小島拙斎せっさいという医者に月二円半の屋賃で貸し渡すという相談も起こって来た。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ちょうど旧本陣の母屋もやを借りて住む医師小島拙斎せっさいは名古屋へ出張中の時であり、青山の当主宗太も木曾きそ福島の勤め先の方で馬籠まごめには留守居の家族ばかり残る時であったが
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)