打裂羽織ぶっさきばおり)” の例文
あそこのところへ、また以前と同様な陣笠、打裂羽織ぶっさきばおり、御用提灯の一行が、東と西とから出合頭にかち合って、まず煙草をみはじめました。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
浅葱織色木綿あさぎおりいろもめん打裂羽織ぶっさきばおり裁附袴たっつけばかまで、腰に銀拵ぎんごしらえの大小を挿し、菅笠すげがさをかむり草鞋わらじをはくという支度である。旅から帰ると、三十一になるお佐代さんがはじめて男子を生んだ。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
池上は、打裂羽織ぶっさきばおりの裾を拡げて、腰かけた。兵頭が、土間の奥の腰掛へ、大股にかけて
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
絶えて久しい旅すがた——一文字の笠をいただいて、長い打裂羽織ぶっさきばおりを着、野袴をはいた姿は、その昔見た鈴鹿峠を越えた時の姿とよく似ています。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
特に今晩は、あの御定連ごじょうれんだけではない、正面に、安直の一枚上に大たぶさの打裂羽織ぶっさきばおりが控えている。これぞ彼等が親分と頼む木口勘兵衛尉源丁馬が、特に三州方面から駈けつけたものと見受けます。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)