手筺てばこ)” の例文
それが圖星に當つて、紅皿と筆をお松の手筺てばこに入れたのは、わなに掛つたやうなものだ
ながい年月としつきそっと秘めてきた心の手筺てばこともいえよう、蓋を明けたい気持はあっても、むざと鍵に手をかけられないのは当然だったかも知れない、こうして春も過き、夏も終りかけた或日のことだった。
菊屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)