戸惑とまどい)” の例文
そうして見ると、月経の血が戸惑とまどいをして鼻から出ることもあるように、性欲が絵画になったり、彫刻になったり、音楽になったり、小説脚本になったりするということになる。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
なれども、僧都が身は、こうした墨染の暗夜やみこそけれ、なまじ緋の法衣ころもなどまとおうなら、ずぶぬれ提灯ちょうちんじゃ、戸惑とまどいをしたえいうおじゃなどと申そう。おしも石も利く事ではない。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
またしきりに鳴く——蛙の皮の疣々いぼいぼのようでもあります。そうして、一飛ひとッとびずつ大跨おおまた歩行あるくのが、何ですか舶来の踊子が、ホテルで戸惑とまどいをしたか、銀座の夜中に迷子になった様子で。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)