戸山とやま)” の例文
戸山とやま医学博士の鑑定によれば切断後三日位の二十歳前後の健康体の婦人の右足を膝関節しつかんせつの部分から切断したもので切口の乱暴なところを
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
大久保の停車場を降りて、仲百人なかひゃくにんの通りを戸山とやま学校の方へ行かずに、踏切からすぐ横へ折れると、ほとんど三尺ばかりの細い道になる。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「あの……先程さつき、若旦那様とご一緒に、自転車で戸山とやまはらを一と廻りするんだつて、出かけたやうでございます」
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
キャラコさんは、日曜ごとに長六閣下と戸山とやまヶ原の射場へ出かけて行って、射垜しゃだのカンヴァスに閣下と並んで腹ばいになって、いっしょうけんめいに点数を争う。
キャラコさん:05 鴎 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「すごいねえ、戸山とやま君。やっぱり、塔はくずれているよ。ほら建物もあんなに大穴があいているよ」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
戸川秋骨とがわしゅうこつ君が『そのままの記』に霜の戸山とやまはらという一章がある。戸山ヶ原は旧尾州侯御下屋舗びしゅうこうおしもやしきのあった処、その名高い庭園は荒されて陸軍戸山学校と変じ、附近は広漠たる射的場しゃてきばとなっている。
思いだされるのは、いつか戸山とやまはらの二十面相の巣くつに乗りこんでいって、地下室にとじこめられたときのことです。あのときは、天井につごうのよい窓がありました。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
妹が学校へ行き帰りに、戸山とやまの原を通るのがいやだと言いだしましてね。それにぼくが夜実験をやるものですから、おそくまで待っているのがさむしくっていけないんだそうです。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)