“成牝（カウ）” の例文
陣痛の苦と新生の輝かしい希望とを懐（いだ）いて、永く忍び、永く忍びつつ、しかも衝（つ）き進むべくして衝き進みつつ、ああ、彼女ら成牝（カウ）の大群が来る。
フレップ・トリップ (新字新仮名) ／ 北原白秋(著)
北海の水の上にまだ流氷の残塊が徂来（そらい）するころ、通例、成牡（ブル）と呼ばれる、四五十頭の、怪物のような巨大獣が先着し、上陸しやすい場所を占領してあとからくる成牝（カウ）を待つ。
海豹島 (新字新仮名) ／ 久生十蘭(著)
新らしき曙（あけぼの）の波濤に乗り、オホーツクの海阪（うなざか）を越え、渾沌として黒く漂う浮き脂の大いなるうねりに幾万となく群集して膃肭獣（おっとせい）の花嫁成牝（カウ）らは来る。
フレップ・トリップ (新字新仮名) ／ 北原白秋(著)
殊にハーレムの王中の王、その最勝王ブルは三百頭の成牝（カウ）と交接し、その懐胎するに到るまで続けて抱擁し、その三百頭ことごとくを懐胎せしむる。
フレップ・トリップ (新字新仮名) ／ 北原白秋(著)