戌刻いつゝどき)” の例文
聞居るお政のつら殘念ざんねん辯解いひわけなすともまことにせず口惜涙くやしなみだむせ返る心の中ぞあはれなり然るに天の助けにや或夜あるよ戌刻いつゝどきとも思ふ頃下谷車坂くるまざかより出火して火事よ/\と立騷ぎければ宅番の者ども大いに驚き皆々我家へ歸り見るに早火の紛は破落々々ばら/\と來たり殊に風もはげしければ今にもやけて來るかと皆々周章狼狽あわてふためき手に/\荷物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)