態度ふり)” の例文
七兵衛も気が知れない男だが、口では早く蔵えの、いやになるのといいながら、それを横目で見て見ない態度ふりをしながら、いつまでも坐っているお絹の気も知れない。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
信吾は、成べく平静な態度ふりをして、その足で直ぐ加藤医院を訪ね、学校を訪ねた。彼は夕方までに帰つて、吉野や妹共と一緒に踊見物に出る約束を忘れてはゐなかつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その障子で、姿を仕切って、高縁たかえんから腰をおろして、すそを踏落した……と思う態度ふりで、手をのばして、私においでおいでをする。それが、白いのだけちらちらする、する度に
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたしは聞えぬ態度ふりをした。
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)