恙無つつがな)” の例文
あるひくだけて死ぬべかりしを、恙無つつがなきこそ天のたすけと、彼は数歩の内に宮を追ひしが、流にひたれるいはほわたりて、既に渦巻く滝津瀬たきつせ生憎あやにく! 花は散りかかるを
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
珊五郎はしばらく黙り込んで、青竹に縛られた娘の恙無つつがない顔と、左門と平次の敵意のない顔を見比べました。
それからまた三十余年、他の果樹は育たなかったり枯れてしまったりしたが、九年母二本と柿一本とだけは恙無つつがなく現存している。特に九年母は繁茂して、近来年々三百の実を付ける。
九年母 (新字新仮名) / 青木正児(著)
もとより恙無つつがなきのみ、と知らせたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)